敵なのか味方なのか「脂質」

食事


はじめまして、<こと> です。

理学療法士として、運動やストレッチ、食事と幅広い分野を発信していきます。

ガリ君
ガリ君

遂に5大栄養素も最後だね
脂質って聞くともう字からして脂(あぶら)が入っているから毛嫌いするよね、摂りすぎると筋肉にも美にも悪影響が出そうだよ

確かに脂の摂りすぎは身体に良くないけど、脂の中身に注目して摂る食品を選ぶことは大事だよ
今回は脂質に着目して話していこうかな

脂質=脂(あぶら)が多い.摂りすぎは良くないイメージが強いと思います.

確かに、鶏の皮や豚カツの油部分、天ぷらの衣の部分などよく自分も避けていました.
たくさん食べることで胃もたれもするため、好んで食べてはいませんでした.笑

しかし、5大栄養素の中に含まれるだけあって、脂質完全抜きの食事は逆効果になることもあります.

そこで今回は、「脂質」について説明していきます.

この記事は以下のような方におススメです.

  • 脂質について詳しくわからない
  • 脂質ダイエットを試そうとしている

この記事を読むことで、「脂質」の重要性について理解し明日からの食事管理に活かすことができます.

脂質

概要

まずは上記の図にまとめてみました.

脂質」は「飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」に分類されます.

多価不飽和脂肪酸には「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」があります.
この中でn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸は体内で作られず食事で摂る必要があります.
一価不飽和脂肪酸には「n-9系脂肪酸」があります.

n-3系脂肪酸は「DHAやEPA」「α-リノレン酸
n-6系脂肪酸は「リノール酸」「アラキドン酸
n-9系脂肪酸は「オレイン酸
が代表でよく耳にするワードもあるかと思います.

また、トランス型シス型の二つの種類があり、自然界に存在する不飽和脂肪酸のほとんどはシス型で、トランス型はわずかとなっています.

機能

  • エネルギー産生の主要な基質
  • 脂溶性ビタミン(A、D、E、K)やカロテノイドの吸収を助ける
  • 神経組織・細胞膜・ホルモンを作る材料
  • 体温維持・内臓保護

カロリーに換算してみると
脂質は1g=9kcal
糖質は1g=3.7kcal
と2倍以上もカロリーの差があるため、摂りすぎの危険性がわかるね

脂質の食事摂取基準:成人男女 総エネルギーの20~30%
1日2000kcal必要な場合:2000×20(%)/100=400
400÷9(kcal)=約45gが必要となります.

飽和脂肪酸

体内のエネルギー源となり、ホルモンや細胞膜、コレステロールの原料となるため、必要不可欠な栄養素です.

過剰摂取はインスリン感受性を悪化させ中性脂肪やコレステロールの合成を高めることや、心血管イベントのリスクを高めてしまう恐れがあります.
また、体内で合成ができるため過剰摂取に注意が必要です.

動物性脂肪である脂身の多い肉類、バター、チーズなどに豊富
食事摂取基準:成人男女 総エネルギーの7%以下

多価不飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸

n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸の理想的な摂取割合は1:4
より良い身体に近づけるためにはn-3系脂肪酸の割合を増やしn-6系脂肪酸の割合を減らすことが推奨されます.

n-3系脂肪酸

DHA認知機能改善効果、EPA中性脂肪低下作用が期待されます.
α-リノレン酸降圧作用が期待されます.

他にもインスリン感受性を改善し、抗炎症作用があるため体脂肪の合成を抑制する効果があります.

またDHAは「n-3系脂肪酸」の中で唯一、脳に取り込まれ脳の活性化にも期待されています.

α-リノレン酸はアマニ油、菜種油
DHA・EPAはサバ、イワシ、サーモン
などに豊富

食事摂取量:成人男性2.0~2.2g/日、成人女性1.6~2.0g/日が目安

n-6系脂肪酸

リノール酸血中のコレステロール低下作用が期待されます.
アラキドン酸認知機能改善効果や乳児の脳の発達に必要な脂肪酸として期待されます.

適量であれば健康に良い影響がありますが、過剰摂取は炎症やインスリン抵抗性の悪化させ、体脂肪増加に繋がる可能性があります.

リノール酸はサラダ油、コーン油、パーム油
アラキドン酸は卵黄、豚レバー
などに豊富

食事摂取量:成人男性8~11g/日、成人女性7~8g/日が目安

n-9系脂肪酸

オレイン酸は冠動脈性心疾患のリスク低減効果が期待できるとされています.
またインスリン感受性を改善し、体脂肪蓄積リスクを減らす効果があります

必須脂肪酸ではないですが、抗酸化成分が多くなっています.

オレイン酸はオリーブオイル、菜種油、アボカド、アーモンドなどに豊富

現代はn-6系脂肪酸を摂りすぎる人が多いね
そうなると老化現象やアレルギーなどの症状が出現することもあります

n-6系脂肪酸は摂りすぎないように、体脂肪になりにくいn-3系脂肪酸を積極的に摂取していこう

トランス脂肪酸

天然のものもありますが、工業的に生成されたものが多いです.

インスリン抵抗性を悪化させ体脂肪合成を促進するリスクがあるため、過剰摂取には注意が必要.

世界保健機関(WHO)は、LDLコレステロールを増やして動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心臓病のリスクを高めるといわれています.他には1日当たりの平均摂取量を、最大でもエネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう勧告しています.

マーガリン、ショートニング、スナック菓子、クッキー、揚げ物、ラーメンなどに豊富

ショートニングは「植物や動物の食用油脂を原料とした固形油脂」のことを言います
現代は加工技術も向上しているためトランス脂肪酸含有量も格段に減少しています
ですが摂りすぎが良くないことは変わりないですね


まとめ

今回のまとめは以下の通りです.

脂質は「飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」に分類
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の摂りすぎは注意が必要
脂質はカロリー爆弾
n-3系脂肪酸を増やしていけるような食生活を!

ついつい毛嫌いしてしまう脂質ですが、身体に良い脂質もあることがわかります.

脂溶性ビタミン等の吸収にも役立つため推奨摂取量を守りつつ、5大栄養素バランスよく摂れるように心がけていきましょう.

脂質と正しく向き合っていきましょう
摂りすぎは禁物!

ご覧いただき、ありがとうございました。
ご意見や投稿してほしいことの依頼等いつでもお待ちしております。


参考文献
厚生労働省:本人の食事摂取基準(2020年版)